卵の緒
2005年 11月 25日
本が好きでよく読む。
一度読んだ本をまた読み返すということを私はほとんどしないのだけど、大好きで何回も読んでいるのがこの「卵の緒」。中編の作品でもう1編「7’s blood」が収められている。どちらもとてもいいけど、特に表題作の「卵の緒」が好き。初めて読んだのはもう4年前くらいだから、それから数え切れないくらい繰り返し読んでいる。第7回坊ちゃん文学大賞の受賞作らしいよ。
11歳の少年育生と母さんの物語。
「僕は捨て子だ。子どもはみんなそういうことを言いたがるものらしいけど、僕の場合は本当にそうだから深刻なのだ。」というところから始まる。ね?おもしろそうでしょ?
私がとても好きな印象深い場面がある。
ハンバーグをフォークで突き刺しながら、母さんが「育生、自分が好きな人が誰かを見分けるとても簡単な方法を教えてあげよっか」と言いだす。
「すごーくおいしいものを食べた時に、人間は二つのことが頭に浮かぶようにできているの。一つは、ああ、なんておいしいの。生きててよかった。もう一つは、ああ、なんておいしいの。あの人にも食べさせたい。で、ここで食べさせたいと思うあの人こそ、今自分が一番好きな人なのよ」
すごく共感した一節。相手が誰でも、私にとって「一緒に食べるごはんが美味しいかどうか」ということがその人と関係を築く上での最重要事項だったりする。単に食い意地張ってるだけかもしれないけど。
読んだ後、優しい気持ちになれる本。おすすめです。
by naonao-1714
| 2005-11-25 23:12
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